2020.01.01 Wed
パストタイム
2017年12月4日
昼、奥渋谷にある山寺宏一さんの事務所という場所で志ら乃兄さんに稽古をつけて頂く。
寸志さんと僕と、兄さんが指導されている声優さんが4名ほどの大所帯で。
以前教えてもらった『親子酒』はまだ全然身体に入っていないから、その前に教えてもらった『子ほめ』のアゲの稽古を。
アゲの稽古というのは、覚えてきた噺を兄さんに聴いて頂いて、色々とアドバイスしてもらうというもので、僕は師匠以外にアゲの稽古をつけて頂くのは初めてのことだった。
兄さんの指定で僕が最初に演ることになった。さすがに目に入らない所に移動してくれた同業者の寸志さん以外のみなさんに見られる状態で落語を1席。当然だけどめちゃくちゃ緊張した。
『落語千金』の収録の時もそうだったけど、改まって落語をやる時、以上に緊張してしまう。呼吸が浅くなるし、いつもよりもさらにテンポが早くなってしまう。
落語を始める。最初やっぱり呼吸が浅くて、随分稽古した箇所もめちゃくちゃ早くなっている気がして、意図的に隠居さん側でゆっくり喋るようにした。それでもポンポン次の流れが漏れ出てしまって、必死で喋り続ける。
だいぶ身体に入っている前半部分が終わって、正直身体に馴染むまでは稽古できていない後半に入る。途中でお手本をなぞるのを放棄して、とにかくいつもの高座のようにフルスロットルでサゲまでたどり着くように方向転換した。竹さんの家に行ってからクスグリ1個が完全に抜けた以外は、なんとかサゲまでいけた。
兄さんから、色々とアドバイスを頂く。
後で音源を聴いたら、身体に入っている前半はだいぶ思い通りに喋っていたけど、自分のクセを使って話し始めた後半は勢いが強すぎて、早くて、兄さんのお手本とは全く違うものになっていた。
当然、兄さんからそこを指摘された。さらにはもっと基礎的な会話の手法についても教えて頂けた。
多分100で完成としたらまだ5とか10くらいの段階のことを「ひとまずはそこだけ意識してみたら」とおっしゃられてこの日の稽古は終わった。
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その後、ファンタジオ渋谷の生配信へ。昨日のM-1の話から志の輔師匠の話を経て、最終的に僕の落語についての話になった。
思い切って倉本さんに意見を求めると次の段階に行かなきゃいけないと言われた(気がした)。
「やりたいことはわかる上で、お前の落語で、まだ完全に面白いと思わされたことはない」
「紙魚・カレーの話は面白いけど、まだまだ到達点が低い」
「とにかく高座上での時間の使い方をもっと意識しろ」
「間を怖がるな」
などなど。
とにかく、口から出まかせ、ワーワー言ってないとどこか落ち着かない僕にとって、志ら乃兄さんと倉本さんのアドバイスは同じポイントについてだった。自分でもわかっている弱点だけど、それ以外の武器でなんとかやってきた。
ただ、そこをクリアしないと次にはいけないということだろう。
同じ日に滅多にないことが重なったのがとても示唆的でもある。
あとは、倉本さんから
「もう1回、とにかく志の輔さんの高座を見まくれ」
とも言われた。
確かにそうだと思ったから、以後、志の輔師匠の独演会には空いている限り、バカなふりして毎回伺おうと思う。それこそ地方だって。
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意識して落語を変えないといけない。
というか、少しでも変えることができたら、今よりももっともっと上まで行けるのは目に見えている。
やるぞー。