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談笑一門会

 毎月の一門会、出番終了。
 ご来場頂いた皆様、ありがとうございます!

 今日は『蔵替え』というネタを演らせて頂きました。本当は渋谷らくごのネタ下ろし限定のイベントで1度やってから、持ってこようと思っていたのだけど、色々な巡り合わせで、渋谷らくごでは別のネタをネタ下ろししたから、ここでまさかのネタ下ろし。

 特に意識したわけじゃないけど、今月下ろした2本のネタはこれまでの自分の作り方とはそれぞれ違う作り方をしたネタで、結果どちらもひとまずお客様に喜んで頂けたみたいなので、大収穫なのだった。

 渋谷らくごでやった『tion』は、自分が思い描く理想の落語像に少しだけ近づけたネタ。
 で、今日やった『蔵替え』は、これまでのネタで使ってきた『この要素を入れておけばひとまず安心』というスパイスを使わない、ちょっと勇気の必要だったネタ。
 かわら版、cakes、噺.JPという例の一連のインタビューで、これまでのネタなんかについて話す機会が多くて、そんな中で結構要素が似すぎているなぁと痛感させられたから、わざと、ちょっとズラしたネタを作ってみようと拵えたもの。

 具体的に言うと、これまでのネタに必ず入れるようにしていた『アイコンになりやすい分かりやすいギミック』をあえて入れないというもの。1つギミックがあると、とにかくそれをできるだけ掘り進めるスタイルが好みなので、そうなりがちだから、あえて、そういうギミックを入れないようにした。

 結果、自分のネタとしては切れ味の弱い感じがするから本当に演るまで怖かったのだけど、切れ味の変わりに仕込みたかった通奏低音みたいにずーっと響く違和感が、ひとまず今日はうまく機能したようで、思っていた以上にお客様がネタの面白みを味わってくださった。

 メタ的な笑いはあまり好きじゃないからネタには特に関係させずにいるけど、時間軸としては『ぞおん』の翌日が舞台で、登場人物もあのお店の人たち。
 そう思うと、あの店の異常ぶりが際立ってきて、ちょっとじわじわ面白い感じがしてくる。これからお店でのヘンテコな設定を思いついたら、なるべく『ぞおん』のあの店にしちゃおうかと思う。

 ただの、ちょっと変わったネタだなー、と思ってもらって構わない、というか、それが正常な判断だけど、どこかで『クラ交易』に気付いてもらえればとも思っている。僕も内田先生の本で最近知ったくらいだからほとんどの方が知らないとして当たり前なのだけど、今後の人生で万が一クラ交易という言葉を聴くことがあれば、『蔵替え』のことを思い出して頂けたらもらえたら嬉しいなぁ、と思うのはゼミを始めた影響か。