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6月終了。

 結果的に飛ばしてしまったけどメルマ旬報連載『現在落語論』の締切、『吉笑ゼミ。』『レコ発企画の本番』『談笑一門会』、『札幌での親子会』、と怒濤の数日が終わって、一晩開けて、ちょっと休息モード。ちょっと前から買おうと目を付けていた『風立ちぬ』とヨーロッパ企画さんの新作を買ってきたから、今日はこのあと寝転がっておかしでも食べながら見る予定。

 『レコ発企画』、ちょっと作業の山場を迎えていて、ひとまず形になるつつあるからホッとする反面、結局作業が遅れに遅れ1日ではすべてを消化できなかったので数日後に持ち越し。それでも、これは結構楽しい感じになりそうだと手応えも感じつつ合ってほくほく。順当にいけば、秋頃に発表できそう。
 昨日は札幌にて師匠との親子会。通常だとこういう地方公演は自分、もっと言えば落語を初めて聞くというお客様が大半だと考えられるし、僕も落語業界のことから気働きについてのマクラ、そして『狸の恩返しすぎ』へという流れへ進みがちなのだけど、この日は師匠との『親子会』と銘打たれていたことや、広瀬さんのトークコーナもある、言わば、東京で開催されている熱量の会を地方のお客様にも楽しんで頂くのだ、という主催者さんの思惑もびんびんに感じられこともあって、東京でもやる場を選ぶような、カレーシステムのマクラから『ぞおん』という、最近の僕の落語の最前線を演らせて頂いた。
 先日、清瀬でのじゅげむで『ぞおん』をやってみて、ご年配の方や子供たちにもきちんと喜んで頂けることを確認できたから思い切って、そのような選択をできたわけでもあるのだけど。

 ということで、ゴリゴリの『紙魚』の話から『ぞおん』へ。マクラは上々だったのだけど『ぞおん』に入って、いくつか、予定通りの反応を頂けなくてちょっと焦ったけど、とにかくやり抜いたら途中から気持ちよくはまるようになって、結果、ひとまず仕事はできた、というくらいの感じにはなったのだった。良かった。そして特に、日本全国どこにでも自分と同じ様な笑いの感覚を持った方は一定数いるもので、昨日ご来場頂いたなかの1割、くらいの方々にはダイレクトに突き刺さっている手応えがあったのもとても嬉しかった。楽屋ばなしや特にコソコソ効果もあって、初めていく場所でも僕のやりたい方向を意識してくださっているお客様がこれまで以上に集まってくださっている感じがして、それは本当にテレビのおかげだなぁと思った。

 師匠にも常々言われているのだけど、落語家は芸術家でなくサービス業だという考え方があって、とにかくお客様に喜んで頂ける高座を勤めることが絶対条件なのだけど、一方で、他にもたくさんいる落語家の先輩後輩でなく今の僕に期待されていることは自分の感覚を凝縮した尖ったパフォーマンスなのじゃないかと思ったりもしている。まぁ、それは後に師匠だったり、頼もしい先輩だったりが控えてくださっているから前方として好き勝手にできるという4年目という今のキャリアだからこその特権なのかもしれないけれど。

 それでも当分はこのやり方で間違っていないように昨日思えた。低い地力の中、できるだけたくさんの方に楽しんで頂こうと薄めた無難な高座で間口を広げるよりも、とにかく突き抜けた高座を勤めて1人でも2人でもいいからその方々の価値観ごとひっくり返してしまえるような、そんなパフォーマンスをする、その繰り返しでいいんじゃないかと。
 まぁこれはコソコソだったり勉強会だったり一門会だったり、そういう自分にとっての足場があるからことやれる、極端な動き方ではあるのだけど。

 それにしても、この数日は大変だったけどとても充実したものだった。わずかな期間とはいえ間違いなく少しは成長できたと思えているから幸せなことだ。