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談笑の弟子!!

 朝4時。結局あのあとまだ眠れていない。そしてどちらかというと気分が上がってきているからこれを書き始めた所。このあと、ファックスを1件送らなくちゃいけないから散歩がてらコンビニに行こうと思っている。このままだとまた今日も明け方に寝て昼前に起きることになりそうだなぁ。8日から高円寺演芸祭りにお世話になっている。8日はうおこう寄席で2席、9日は杉並四人男で4席、10日は萬感寄席で2席、11日はワンコイン落語会・談笑の弟子!!で4席、インフルエンザにかかられた談吉兄さんの代わりに急きょ明日も代演で2席、売れっ子の人はそれこそ日常なのだけど、5日で14席も落語をやれるのは本当にありがたい。とは言え、僕の場合は会が控えていると、それだけで頭がそっちに引っ張られるからあまり他のことを考えられなくなるようで、だからこれからも何もない空白の日は多めに用意した方が良いなぁなんて思ったり。

 昨日は朝からワンコイン落語会を2回と、毎月やっている勉強会だった。ワンコインの方は高円寺演芸まつりに乗じて、僕たちのことを知らない、もっと言えば落語に能動的じゃないお客様の前で会をやろうと考えての価格設定だったり、会場前での呼び込みだったりで、結果、思っていた以上にたくさんのお客様、それもいわゆる寄席っぽい空気のお客様に集まって頂けたから新鮮だった。立川流、じゃないか、独演会ベースで動き方を考えている落語家からするとこういう機会は、いつもと違った刺激があって勉強になったりする。あれこれ頭悩ませて、自分らしい切り口とか新しいものを作ろうとか、いつもは思いがちだけど、なんだかんだただの娯楽なんだなぁと至極真っ当なことを思い出させてもらえる機会だったりする、僕にとっては。とはいえ、やっぱり独演会ベースの動き方を志向する以上、最後の談笑の弟子!!のような空気感が好きだったりする。演りたいことがある自分を、聴きたい人に聴いて頂く、という当たり前の形。聴いてやってる⇔聴いて頂いている、という関係性はやっぱり僕は好きじゃない。そういう意味ではプロじゃないのかもしれないけど、それならまだアマチュアでも全然かまわない。

 それにしても今月の勉強会は久しぶりに刺激的すぎた。本当は全く違うものをやりたいと思っていたのだけど結局間に合わず、少しずつ温めていたものを準備段階のまま出した形で、できればこれはちゃんと形にしてから世に出したかったのだけど、自転車操業でやってる以上仕方が無い。地力が欲しい、本当に。
 一席目にやった『十徳』は古典としては何回かやったことがあるのだけど、僕のやってる道灌くらいには自分らしさを入れられる気がしていて、というかその方法はぼんやりと前座の時から思い描けていたのだけど、それをやるより新しいネタを考える方が楽しいから手つかずだったのを急きょやってみた感じ。核はやっぱりこういう感じでいいなと思えたし、クスグリのポイントなんかも想定している通り作れそうだったので早く形にして稽古して体に落とすべきだと思った。
 二席目にやった『走馬灯』と『ぞおん』は先月末くらいから考え始めている「主観的時間」についてのネタ。時間というのは一定の流れかもしれないけど、その区切り方で見え方が違うんじゃないか、みたいなところから、暇があったらアイデア出しをしていて、とりあえずぼんやり見えてきた2つを『時感』というパッケージでやってみた。ちょうどこういう事を考えているときに内田樹先生がまさにそういう事をツイートされているのを見て、勝手に背中を押された気がしたりもした。
 『走馬灯』の方は今の形だと飛び道具感がすごいけど、出オチに近い最初の設定と、今回みたいな展開を最後あたりに足したら、ちょっといびつな空気が出せるかなと思いつつ。自分は好きだけどもう少し落語に寄せた方が良い気もしていて、まぁこれからまだもう一段階アイデア出しをしてどうまとめるか、といった感じ。これはこないだの道楽亭さんでの会でフェイント落語の形で少しタネを試したことがあるくらいでちゃんとネタとしてやるの初めて。緊張した~。
 『ぞおん』はフェイントでもやっていないからタネを始めて世に出した形。これはずいぶん形が見えていて、大喜利のお題ははっきりしているからあとは答えをいくつか用意して気持ちよく構成するだけでネタとしてまとまると思っている。あとは演技面が大事になってくるから身体的な+αをどれだけ積み重ねられるかが勝負。理想はいっこく堂さんの腹話術の要領で旦那の声と口の動きがずれてくる、くらいのところまで差をつけたいところだけど、夢のまた夢だし、それができたら落語家じゃなくても食べていけそう。
 このネタは僕の一つの武器であるロジックを組む笑いじゃなくてバカバカしさが押しどころということもあって、ぼんやり考えている時から自然と関西弁な気がしていて、サゲを思いついたときに気が付いたけど、ようは枝雀師匠の雰囲気を勝手に頭の中に抱いていたのだった。だからサゲも分かり易くあの形にした。今日初めてやってみて、このネタは身体的な部分もあるから多分広小路亭とかでもやれるネタに仕上げられる気がしたのは嬉しかったけど、一方で作っている段階から「ゾーン」という言葉が出た時点で冷めてしまうんじゃないか、とも想像できて、でも他の言葉で言い変えたりすると面白みがグンと減るからこのままやったのだけど、今日の反応だとやっぱりちょっと苦しいかなぁと思ったり。そこは悩みどころ。

 それにしても、いまこうして充実感を得ている自分が怖かったりもする。自分は好きだ、という前提がある新しいものを初めてアウトプットして、少なくとも何人かのお客様にはそこに価値を見出してもらえたとは思っているけど、冷静に思い返すと結構な人数を置いてけぼりにしてしまっていた気がしなくもない。そしてそもそも『時感』に関する諸々はちゃんと形にしてからアウトプットしようと思っていたのにそうじゃなくなったし、そのために、タネとしての評価は置いておいて全体の質で考えたらずいぶんと低いと分かっているのに、それでも自分の考えを何人かに受け入れてもらえたということだけで充実感を抱けている自分はダメなのかもしれない。
 自分らしい切り口というのは大前提としてその上でキチンと質を担保したい、というかしなくちゃとはもちろん分かっているのだけど、これまではできずにいる。昨日馬るこ兄さんに指摘してもらったこともそこにつながるのだけど、それができないとしても今みたいにはやれると思うけど、反対にそれができたらもう一段階上へ行けるのは間違いないことだから、早くそこまではいかなきゃ、というところ。まぁ、そのためにルーティンワークに慣れようとしているところでもあるのだけど。

 とはいえ、久しぶりにスリリングな勉強会にすることができてよかった。立ち上げた頃に比べて最近は全体的に熱気が薄れてきていて、まぁ継続するとそうなるのは仕方ないとしても、ここらでもう一盛り上がりさせたいなぁと思っていたりもする。できれば毎月、「行けなくて損した」と思って頂けるようなモノを発信していきたいなぁ、というかいかなきゃなぁ。来月は3月8日(土)の14時30分~になります。笑二が2席で、僕と笑笑が1席という形です。1席だけだからガツンといっときたいなぁと思うし、今月はできなかったけどブログでその過程もお伝えしていけたらなぁと考えている。あと、せっかくご予約メールを頂いても僕がズボラで返信がとても遅くなりがちなので今回から笑笑と二人体制でやっていけたらなぁと考えています。全方位的により良い会へ!今後ともよろしくお願いします。