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2013年→2014年

 今年も今日で終わります。1年間ありがとうございました。

 今年は2月から『3年目の吉笑』シリーズを始めました。ホームページを新しくして、チラシもちゃんとしたものを作って、これまで以上に(と言っても2年くらいしかキャリア無いけど)世の中に出て行く段階に入ろうと思って挑んだ1年でした。結果は、ほとんど世の中に出ることはできませんでしたが、それでもチラシきっかけで新しいお客様、特に同年代の新しいお客様の数が去年に比べてグンと増えたのは嬉しい出来事でした。ずっと応援してくださっている落語界のお客様と、同年代であまり落語に関心の無かったお客様とがごちゃ混ぜになっている客席を見て、いつもほくほくしていました。自惚れでも何でもなく、僕は周りにいる仲間に比べて、同年代で落語に興味の無い方にまず振り向いて頂くことに長けているのだと自覚するようになりました。また他の人からしたらメリットが感じられないらしくそんな行動をするのはバカだと思われている節もありますが、面白い先輩や後輩を僕の会に来てくれている方々に伝えたくなる性分なので、僕きっかけで落語に興味を持ってくださったお客様が他の面白い落語家さんの会にも行くようになってもらいたいなぁと思っています。僕はズルい人間なので、自分じゃなくて他人が有利になるのは嫌だなぁと思ったりすることもありますが、それ以上に面白い事をしている人がきちんと評価されないことの方が嫌なので、これからも一方的なレコメンは続けていこうと思っています。できれば自分が一番面白い!と胸を張って言えるようになりたいのですが、そんな日を迎えるのはめちゃくちゃ難しそうです。なんせ、周りに面白い人がたくさんいるから。(それでも僕にしか表現できないことがあると思えているのもまた事実です。)

 2013年が良かったか悪かったか。来年以降の布石としては十分すぎる1年だったから、今年を良くするのも悪くするのも、今後の頑張り次第ではありますが、それでもやっぱり良い1年では無かった気がしています。その一番の原因は体調を崩したこと。
 4月に体調を崩してしまい、『3年目の吉笑』を1度中止にしたのは死ぬまで忘れることのできない経験になりました。マクラでは色々と喋ったりましたが、デリケートな問題でもあるのでなかなか芯を食ったことを書くのは難しいのですが、とにかく「まさか自分がこんなことになるなんて、、、」と苦しんだ1ヶ月でした。今となっては傾向と対策が掴めたので、またそういう状態になっても驚くことはありませんけど、それまでまるっきり健康だった自分が、上手に自分をコントロールできなくなるなんて想像だにしていませんでした。また漢方薬の偉大さを痛感させられもしました。今年のスペシャルサンクス欄には漢方薬と書き込みたいところです。一番つらかった3日間に書いた日記を大掃除をしていて見つけたのですが、バッチリ元気になった今の自分では想像もできないくらい健気なことを書いていました。元気になると少しガツガツ行き過ぎる節があるので少しはあの頃のモードを取り入れられたらなぁ、なんて思えるくらい元気になれて良かったです。

 そんな年に森田真生さんと知り合えたのも嬉しい出来事の1つです。自分のやるべき事にひたむきに取り組む彼の姿勢を真似ることなどできませんが、同年代の人間が頑張っているんだという拠りどころが心のどこかにいつもある、というのは本当に励まされます。また、年末になってまさか九龍ジョーさんと知り合いになれるとは、嬉しい誤算でした。以前からちょくちょく書いていましたが、同年代、より少し上の世代の方々が今、本当に勢いがあって面白いことをされていると思っていて、まさにそんな世代ど真ん中の方と知り合って、その勢いを間近で拝見させて頂けるとは思ってもいませんでした。九龍ジョーさん、磯部涼さんらと、始発が動くのを歌舞伎町のバーガーキングで喋りながら待っている時ずっと「これ、ドミューンじゃん」と思っていました。自分が何者かになったわけではありませんが、それでもそういう、自分が好きで注目してきた方々と同じ空間で同じ時間を過ごせるのは本当にありがたかったです。(僕はミーハーなんで特に。)
 ミーハーな僕にとっては「噺家が闇夜にコソコソ」に出演できたのも大きな一歩となりました。師匠のバーターで、という意味合いもあったのだと思いますが、赤池さんというプロデューサーの方と実は5年前くらいに一度お会いしていて、もちろんその時は弟子入りもしていなかったので以前の仕事上でですが、代官山の喫茶店でご挨拶させて頂いた時には、まさか落語家として現場をともにさせて頂くことになるとは夢にも思っていませんでした。新作派で、常々お笑い文脈に近いスタンスで活動している身としては、シンプルな発想力を披露する大喜利で失敗する=存在価値がなくなる、と無駄に思い込み、本当に緊張しました。本来はそういう大喜利は苦手で、ネタ作りもそういう大喜利の脳みそじゃなくて、むしろ独特な大喜利のお題を作ることという方向で取り組んでいるからなぁ、などと自覚していても、やっぱり大喜利ですら力を発揮できなかったら、落語家としての存在意義が無いだろう、と。そんな中で、今田さんや談春師匠との絡みは全然うまくいかなかったし、佇まいとか見せ方だとかでも自分の無力さを痛感させられましたが、それでも出した答えでスタジオにいる方に笑って頂けたのは心から嬉しかったです。落語とは直接関係ないとはいえ、それでもあそこできちんと仕事ができて、良かったまだ自分にも居場所があるんだ、と思えました。

 来年はこうしよう、と考えていることもいくつかあります。まず『3年目の吉笑』のような独演会は今の所予定しておりません。今年1年間、頑張ってみましたが、どうしても地力不足のため、せっかく新しいお客様に集まって頂いても心から満足できるコンテンツを発信することがほとんどできませんでした。もちろん会の緊張感によって今までに無かった力を発揮することができたり、新しいネタを作ることもできましたが、今後の自分にとって、やるべきことは他にある気がしたので、そういう前のめりな会は一旦お休みしようと思っています。もう少し準備期間が必要ですが、そのやるべきことを一刻も早く始めたいなと思っていて、それが来年の軸になる気がしています。
 一方で、来年からはもう少し極端な舵どりをしようとも考えています。ずっと前から応援してくださっている落語界のお客様と同年代のお客様とをこれまでは同時に喜んで頂こうと思っていたのですが、完全セパレート、とまではいかなくとも、もう少し思い切った動き方をどちらにも向けてやっていかないと中途半端なだけだな、と思いました。なのでこれまで以上に同年代の方に向けて、一方でこれまで以上に落語界のお客様に向けて、幅広く、でも極端に活動していけたらなぁと思っています。

 特に最近は、久しぶりに調子が良くなっていてモチベーションも高まっているので今の間にやれることをたくさんやっておきたいと思います。どうせしばらくしたら、また調子が悪くなるのは目に見えているので、そうなる前にしっかり準備しておければと。

 自分にしか見せられない根多や出来事や世界を、もっともっとお見せできるように、今まで以上に大胆に攻めていこうと思っています。来年もどうぞよろしくお願い致します!

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[告知したいこと]

1月10日(金)19時15分~
立川談笑一門弟子勉強会@高円寺・庚申文化会館
出演:吉笑、笑二(2席)、笑笑

1月31日(金)19時~
立川談笑一門会@吉祥寺・武蔵野公会堂
出演:談笑(2席)、吉笑、笑二、笑笑

詳しくはスケジュール欄をご覧ください