2013.06.03 Mon
日常
牧野邦夫展
『牧野邦夫-写実の精髄-展』を観に、練馬区立美術館へ行ってきた。
美術に疎いのでもちろん牧野邦夫さんの事はまったく知らなかったのだけど、会場での展示やたまたま開催されていた山下裕二さんのトークを聞く限り、あまり知られていない作家さんの様だった。そもそも「この展覧会は観ておいた方がいい」とレコメンしてくださったのは以前の仕事からお世話になっている倉本美津留さんで、倉本さんの面白アンテナの精度の高さには以前から驚かされ続けているので、今回もすぐさま飛びついて行ったのだけど、やっぱり凄いものを観れたのだった。
おぼろげながら聞いた話なので、少し嘘も混じるかもだけど、そもそも倉本さんは喫茶店で牧野邦夫さんの絵を観られたらしい。パッと観て「これは凄い」と直感し、作者を調べたら牧野邦夫という作家ということが分かり、でも画集らしい画集なんかも無いし、全然情報が無くモヤモヤしていたところで、ようやく今回の展覧会が開催されたそうだ。
で、倉本さんが凄いのは無償の愛というか、異常なまでに「自分がオモロイと思ったものを人にも知ってもらいたい」という気持ちが強いところで(僕も以前の仕事の時にはありがたくもお世話になりまくった)、自分の好きな牧野邦夫というまだあまり知られていない凄い作家を自分の知り合いにも知ってもらいたい、という動機で、それこそ末端の僕にさえ『見といた方がええから!!!!』というメールを送ってくださるくらいなので、いざ当日会場に行ってみたら色々な人が倉本さんに挨拶されてて、その都度、倉本さんが「この作家はこうで、こうで、こう凄いねん!」と力説されていて、全然知らない人がみたらこの人が作家なんじゃないか?と思われるくらいの運動量なのだった。(僕のレコメン好きも少しは倉本さんから影響受けてるだろうなぁ。)
後日「ありがとうございました」とお礼のメールを送ると「飛躍のための栄養や。」という”らしい”返信を頂いたりしてありがたいなぁと思ってもいる。以前の仕事上では少しは倉本さんの琴線に触れうることができていたと思えているけど、落語ではまだまだできていないし、そもそも観て頂くことすら憚られるくらいの体たらくだ。一区切りに、と思い、去年の国立演芸場での独演会にはご招待させて頂きネタも観て頂いたのだけど、「やりたい事はわかる。その上で、まだまだやな。」という感じの評価を頂いた。し、自分でも「倉本さんにはそう言われてしまうなぁ」と分かっていたし。
ここのところ、少し有名人めいたブログが増えてて自分でも鼻につくけど、そういう流れなのだろう。倉本さんからのレコメンを受けていらしたキングコングの西野さんと途中から一緒にまわることになったから少しお話をさせて頂いた。噂に違わずフットワークの軽い人で凄いなぁと思った。なんとなく、80年代カルチャーの人達のフットワークの軽さに比べて僕たちくらいの世代の人間は総じて全然動けていない気がしているのだけど、西野さんは別だなぁ。
前も思ったけど、先輩が動いている現状なのに、圧倒的後輩である自分が動かないでどうするんだと思った。
帰り道、倉本さんのレコメンでいらしたのだろう、大好きなミュージシャンとすれ違った。あの日の練馬区立美術館は目を凝らせば有名人だらけだったに違いない。すごいな倉本さんのレコメンパワー。