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お知らせ【吉笑年鑑2012】

ブログでもチラホラ書いていた『記録系企画』というモノが、4月1日発売開始という当初の予定通り完成に向かっているので今日は告知をさせて頂きます。昨年末に企画の話を頂いてから地味に動いていた出版物です。

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吉笑年鑑2012 -From the beginning-

[目次] ・~ブログとツイッターでたどる2012年全活動
Part 1 前座修行の終わり
Part 2 落語家として
・オリジナル作品と解説
・「立川吉笑と音楽」
・勉強会、独演会分析資料
・ブログ・アクセスログ
・「台本問題」問題用紙
・「昇進記念説明会」資料
・「たぬきの恩返しすぎ」直筆初稿
・あとがき 立川吉笑
発売日:2013年4月1日
販売方法:①吉笑の出演落語会 ②Amazon.co.jp(4月中旬より発売予定)
定価:1000円(税込)
大きさ:A5版70ページ
監修:立川吉笑 編:吉笑年鑑編纂委員会
発行:合資会社グッドクエスチョン
お問い合わせ:tk.nenkan@gmail.com

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ということで自分の年鑑を作ることになりました(笑)

予定は未定だけど、今のところ毎年毎年、死ぬまで、もしくは廃業するまで作り続けようと思っています。メインのコンテンツはその年の僕のブログやツイッターをまとめたものでしょう。つまり、わざわざ買わずともこのブログや僕のツイッターを遡っていけば年鑑のほとんどの内容を読むことができます。「それなのに売るなんてバカだな」と思われるかもしれませんが、なかなかどうして、そうではありません。なぜなら全てのノンフィクションに制作者の意図が良くも悪くも反映されてしまうように、吉笑年鑑に掲載されている僕のブログ記事やツイート部分にも第3者の意図が反映されているからです。

昨年末、「吉笑さんのブログやツイッターをまとめさせて頂きたい」とこの企画の発案者の方からお声掛け頂いたとき「何を考えているんだ?」と思いました。落語家としてまだどうにもなっていない、また、現状どうにかなる可能性も自分以外は低いと思っているであろうこの僕の、そういったコンテンツを作品にするのは順番が違うだろうと思いました。
当然ながらお断りさせて頂こうと考えながら向かった打ち合わせ現場で『吉笑さんの落語が好きだから、記録しておきたい』『その記録に興味を持つ人は私だけではないと確信している』『貴方は将来、記録しておいた方が良かった人になると思う』『ずっと先、記録しておいたことが役に立つ日が来る』『ブログの文章が「いち落語家の成長」記録に適している』などと言うような、よいしょも含めて?自分には勿体ないような評価をして頂いていたことと、何よりもその熱意。また、それまで何度かお会いしただけなのに「この人は信頼して大丈夫だろう」と思えたことなどから、「こちらこそよろしくお願いします」という感じで企画を遂行することになった。

「年鑑である以上、できるだけ僕の意志とは独立したところで作られるべきだ」という考えは先方も僕も共通して持っていた意見だったので、2012年版としては、作品解説部分に書き下ろしがいくつか含まれているのと、分析資料をいくつか提供したのと、『台本問題』の問題文・『狸の恩返しすぎ』の初稿台本(手書きで色々書き込みあり)を提供したのと、昇進記念説明会のスライド・高座や普段の写真を何枚か提供したのと、あとがきを書かせてもらったくらいで、基本的なデータ収集やブログ・ツイートのピックアップ、その編集などは全てやって頂いた形だ。
例えば狸の初稿台本なんかは、パソコンでパチパチやってとりあえずプリントアウトして、そこから実際に喋りながら推敲していく段階のものなので、ネタの発想自体は今と同じだけど技術面というか小技部分が今やっている形とはかなり違うので、現行の狸と比較するとちょっとした言葉選びにどういう意図が隠されているのか分かったりするだろうから資料として手前味噌ながら面白いと思うし、逆に言ったらこういう機会が無いと僕自身も二度と見ることが無かったであろう資料が日の目を浴びることになったのは有り難い話だ。
そして何より自分でも一番驚いたのは年鑑のメインを占めるブログ・ツイート部分で、(そういう切り取り方をしてくださったからなのだろうが)読み物として、思いのほかグッとくるのです。前座から二ツ目に上がって、説明会をして披露目をして、というようなドラマチックな1年だったからというのもあるし、元々僕がメンタル的に起伏の激しい人間で、上がる時は突き抜けて上がるぶん落ちる時も突き抜けて落ちるからというのもあるのだろうけど、何というか、たった1年なのにきちんと波があって、それがちゃんと読み取れるようになっているのです。嬉しくてノリにのっている当時の僕からは笑い声が聞こえてくるようだし、躓いて落ちて、ズーンと沈んでいる当時の僕からは息苦しさすら感じられます。当たり前だけど一人の人間のドラマになっているんです。自分のブログを読み返すことなんてほとんどの人がしないと思うけどもちろん僕もその中の一人で、だから「当時あれだけ嬉しかったなぁ」とか「当時めちゃくちゃ悔しかったなぁ」とか本当に新鮮な気持ちがプレイバックしてきて、恥ずかしい話、チェックしながら泣きそうになったりもしました。

もともと、師匠に前座のうちからブログやツイッターをやるように指示されたのは「ブラックボックスになりがちな前座生活をすべて晒していけ」「自分という人間のすべてを提示してその上で応援して頂けるようになれ」といった理由からだったと僕は記憶していますが、今回この『吉笑年鑑』という企画を与えてくださったことで、そのあたりにより明確に取り組むことができるようになったなぁと思っています。だって、今後”立川吉笑”として1年を過ごしていくだけで自動的に『吉笑年鑑』という作品は出来上がっていくのだもん。

この年鑑の存在価値は今後の僕の頑張り次第でどうにでもなり得るし、この年鑑の内容が僕の毎日の過ごし方でどうにでもなるというのなら、どうせなら思いっきりフルスイングで生き抜いて、冗談みたいなフィクションみたいな夢みたいな、そんな内容にしてやりたいなぁと思っている。「現実は小説より奇なり」とはよく言うが、それが本当かどうか一生をかけて確かめてやろうと思っている。

『吉笑年鑑2012』、アマゾンでも販売することになりそうなので僕の高座をご覧になったことが無い皆様も是非ともお買い求めください!今の僕を追いかける事ができるのは今だけです。ただ、僕を追いかける価値があるかどうかは、すみませんが知りません(笑) よろしくお願い致します!