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立川吉笑の「はなしの食堂」

日程

2020年02月18日[火]

19時開場
19時半開演
21時半終演予定

料金

1ドリンク付き¥2500

会場

下北沢ダーウィンルーム(東京都世田谷区代沢5丁目31−8)

 [google mapで見る]

予約・詳細は
https://hanashinoshokudo03.peatix.com

落語なしトークのみ、
それもエピソードトークの類じゃなくて
お勉強をしようという
文字通りの勉強会です。

前回は「時間」について考えました。
おかげで、連載をしている中央公論の原稿に
納得のいく文章を書けました。

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 前号に引き続き「時間が存在しないこと」について考えている。因果律でなく縁起的に出来事を捉える仏教的な見方をすれば時間は存在しないと言えるのだと微かに実感が湧いてきた。そんなある日、書店で『時間は存在しない』という、そのものズバリのタイトルが付けられた本と出会った。カルロ・ロヴェッリという物理学者が書いたその本には、冒頭から「時間の長さは伸び縮みする」「時間に方向などない」「現在はない」と物騒なことが論理的に書かれていて目眩がした。ついに僕は時間が存在しないことを受け入れられるのかもしれない。
 話はガラッと変わるが、最近料理にハマっている。きっかけはご縁が繋がって山口県は周防大島の「みやた農園」から毎月お任せで野菜を取り寄せるようになったこと。せっかくの野菜を美味しく食べたいと思い、独学で大根を煮込んだりカブと柿でサラダを作ったりしている。
 料理を始めて気づいたのは、料理にはいたる所に「時間がある」ということ。美味しい煮物を作るために大根を下茹でする15分。粗熱をとる30分。水にさらして雑味をとる30分。味を染み込ませる1時間。と、頭の中で時間は存在しないといくら考えても料理をしていると目の前に具体的な時間がどんどんと迫ってくる。大根を煮込んでいる間に、ベランダに干していた洗濯物を取り込む。いくつか生乾きのものがあったからあと1時間くらい干すことにする。ここでも時間が立ち上がってくる。そこで気づいた。(当たり前のことだけど)「家事」には時間があるのだ。生活と言ってもいい。どれだけ思考を巡らせて時間がない世界を想像したとしても、「生活」をすると時間が立ち上がってくる。
 「時間」や「因果関係」という強烈な束縛から解放されたいと願う。いまに執着することなくただ在りたいと想う。一方で、そんな境地に想いを馳せるためには「生活」をしなくてはならないのも事実だ。それは時間と向き合うことに他ならない。遥か遠くを眺めることと、身の回りに目を向けること。僕たちはそんな相反する矢印がせめぎ合っている狭間を生きている。
 ぶくぶくと浮かんでは消える泡の中で、気づけば大根はすっかり煮崩れていた。もう少し丁寧に面取りをするべきだったなと思った。

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(本当は全文載せちゃだめだと思うけど)

僕はとても遠くのことと(抽象的なこと)
とても近くのこと(生活)と、
その両極端に目を凝らし耳を澄ましていこうと思いました。

話の食堂は遠くを眺めることを忘れないための会。
ご来場お待ちしております。