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2018年7月31日

わさび兄さんとの『三題噺とらいあんぐる』。ゲストは三三師匠。

 

芸風的に三題噺を得意だと思われることが多いけど、実はめちゃくちゃ苦手。自分のネタ作りとしては、一つのきっかけを見つけてそれをゴリゴリ広げていく手法が多いけど、三題噺だと1つのテーマに対する掘り下げよりも、3つのテーマを繋げていく流れにポイントがある気がしていて、その作業が得意じゃないから、必然的に三題噺をうまく作ることができない。

 

というわけど、この日も三三師匠とわさび兄さんが良い高座を勤められたけど、自分は今ひとつの出来となってしまった。はっきり言うと小技を効かせてなんとか見栄え良くまとめはしたけど、見る人が見たら分かるくらいに、ネタとしての質は低い。

 

『吉笑ゼミ。』での即興では何とかがっつりネタを作れているのは、お題が「ゲストの講義」とふんわりしていることで、自分が興味のあるポイントをチョイスすることができるから。そして、そのチョイスしたポイントを掘り下げてある種の考え方・思想をネタに昇華して形にするのは僕のめちゃくちゃ得意なところ。他の落語家に比べても胸を張れる武器だと思う。

 

三題噺の即興で求められる力は「お話を作る力」が大きいと思う。もらった三題の中の1つから、ざっくりとストーリーを作ってしまう。そこまで入り組んでなくてOKだけど、普通の話、じゃなくて少しくらいは物語性がないとダメ。まずは全体を貫くストーリーを立ち上げて、起承転結の転になるようなポイントでもう1つのお題を使う。最後の1つはサゲ間際で使って、できれば地口オチがベストだと思う。

 

そう噛み砕いて三題噺に求められている作業を見渡すと、つくづく苦手だなぁと思う。ストーリーを作るのがまずは苦手。普段のネタではストーリーをできるだけ排除して(というか、そもそも作れないだけ)、記号的なロジックの積み重ねだけを使ってネタを構成しているくらいだから当然。

そして、地口オチ、つまりは謎かけの能力が絶望的にない。これまで何度も身につけようと思ってきたけれど、結局実行せずに今までやってきた。

「うまく落とす」というのはネタ的には全然好きじゃないけど、落語っぽさの担保としては絶大な力を発揮するから、逃げずにトレーニングしたい。

 

ということで、三題噺の回を10月からでも始めよう。まずは制限時間によるプレッシャーで追い込まれた状況で何度か繰り返すべきだと思う。そこでのトライアンドエラーで自分の思考回路と三題噺の作り方との折り合いを見つけたい。

 

即興での三題噺は、うまくいけば面白さだけじゃなくて、凄みも魅せられるはずで、そこは後々上を目指すためには必要になってくるところだから、多少きつくても訓練を続けたい。