2014.04.05 Sat
日常
楽屋ばなし#71コメンタリー
さて、毎週土曜日は恒例の楽屋ばなしコメンタリーを。
例によってネタバレばかりですので、音源を聴いてから読んで頂けたらと思います。
春吾・吉笑の楽屋ばなし#71(嘘)
http://gakuyabanashi.seesaa.net/
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[収録前]
いつもよりも少し構成、というか展開を自分の中で想定して収録に挑んだ回。『噺家が闇夜にコソコソ』でもちょうどエイプリルフールのお題がオンエアされていたからそれにちなんで、というのも少しある。
収録前に展開を伝えてしまうと即興感が薄れるからと思って兄さんには「嘘をテーマに話します」とだけしか伝えなかったのだけど、その時点で僕の想定ではまず僕が「エイプリルフールに嘘をついてすみませんでした」と謝る姿勢でいって、兄さんは「それをてっきり本当だと信じていたけど、嘘でよかった」というような感じで受けてもらい、これで良かったと思ったら「実は俺も、、、」と兄さんがついた嘘を白状だして僕も「てっきり信じてたけど、嘘でよかった」というリアクションで、嘘を白状するのを交互にやり続け、だんだん、嘘がむちゃくちゃになっていって、「どんな嘘やねん!」「なんで信じてん!」というツッコミを聴いてくれてる方が脳内補完するような方向でいけたらなぁと考えていた。いつもはストーリー形式というか、話が進んでいくパターンが多いから今回はお題があって基本的には並列していく感じで1本分収録できればと思って。
それをふまえて、さて、音源を聴いていきましょう。
[収録開始]
「謝らないといけないことがあって、」という神妙な出だしにしたのは、このトーンで嘘だったとバラしたら、たぶん兄さんも乗っかってくれるなぁと思ったから。いや、実際はそんなに理詰めで考えずに感覚でこういう話し方にしたのだけど、たぶんそういう思いがあってのこの感じなのだと思う。そうでなく軽く「嘘だった」と申告した場合、「あっ、知ってたよ」という方向に話が進んでしまう可能性があったから、とりあえず思い描く嘘の謝り合いに持って行くためには必要な出だしだったなぁ、と改めて。
1つめの嘘、『声が出なくなっちゃったんですけど。』というのは闇夜にコソコソで1つ目に思いついたフレーズだったのですが、それが咄嗟にでちゃった形。闇夜にコソコソでは思いついたから書こうと思ったのだけど、何だかどっかで見たことあるボケのような気がしたから出すのを止めたのですが、それをこの場で成仏させた感じ。
大喜利の答えとしては分かり易いし、1つめとしては最適なのだけど、いまやりたい展開から考えると、1つめの嘘じゃなかった。これはもっと後の方にするべきだった。というのも、『声が出なくなっちゃった』という嘘をつかれて信じるというのは普通じゃないから、その時点で軸がぶれてるというか、本当だったら兄さんは嘘だと気づかずにいられる自然な嘘を言うべきだった。「家が火事になった」とか「財布落とした」とかの方がよっぽどマシ。「家が火事になった→嘘だった」「えぇー、心配したのに」という普通の流れがあったあとで「声がでなくなった→嘘だった」「えぇー、心配したのに」という方が正解。分かり易いし。
「家が火事になった」みたいな普通なのが最初にあればその後「新しい家を建てたけど、それも火事になった→嘘だった」「さらに新しく建てた家が明日火事になる→嘘だった」みたいに、自然な嘘を飛躍させていっておかしみを増す展開もできそうだったなぁ、と、今さらながら。
一つ目で「声が出なくなった」という嘘にしちゃったから、そのあと普通の嘘はつけなくなるから、一気に可能性を閉じちゃった感じ。
それはさておき、さすが兄さん、僕の思惑通りに「心配したよぉ」と受けてくださった。僕の言い分の「(声が)出てるから、バレると思った」というのはこの流れだと絶対に言わなきゃいけないところで、面白いけど、やっぱり一つ目じゃなかったなぁ。それを受けて兄さんの「本人じゃ無いから」という言い草もすごい。そういうところを聴きながら「いや、わかるだろ」とツッコミを足しながら聴いていくのが楽屋ばなしの楽しみ方の1つだと思います。
「帰った後にも(大丈夫?というのが)メールできたから」というのも言えて良かった。「声が出ない」と直接”言われた”のに気付かずそこまで心配してるのは面白いから。
想定ではこの後兄さんが「実は俺も、、」と来てくれたらと思ってたのだけど、やっぱりそれは無理だと気づき、もう1回僕が嘘をつく形に。このくだりの途中に、このままだったら兄さんが嘘をつく流れにならない気がしたから、楽屋ばなし史上初めてカンペで「兄さんも嘘をついてください」と指示を出したのだけど、それがおかしな展開を発生させるとはこの時は思ってもいなかった。
もう1つ嘘をつくことになって考えはじめてすぐに、「声が出なくなった」より先に進んだ嘘をつかなきゃいけないんだ、という縛りに気付いてヤバッと思ったところ。悩みながら言ったのが「最近、3本目の足が生えそうです。」という嘘。ま、まだ出せた方かなと自分で自分を褒める。そこからの「思いのほか喜んでくれたから、」という付けたしは良い。これでさらにこの話上の兄さんのキャラがヘンテコになったから。「おめでとうじゃないだろ」と脳内ツッコミをして頂ければ。
(このあたりでカンペを書いてるところ。)
兄さんの「靴下も3つのやつをプレゼントしようと」というのは面白い。この時点でいつもみたいに『足が3本だとどうなるか』を考える方向も浮かぶもんなぁ右足・左足に対して「中足」なのか「第二右足」なのか、とか、指はどうなってるのか?とか、靴は?とか、サッカーとかバスケやらせても面白いし、ケンケンパも面白そうだし、と色々と流れが浮かぶ。
と言いつつ本編は「嘘をついてください」というカンペを受けて兄さんのターンへ。
兄さんが話し出してくれてさぁ始まるぞと思っていたら「エイプリルフールとか関係無いんだけど、、」という兄さんの話し出しで愕然とする僕。あわわ。
曰く「中華料理を食べるとき、テーブルを回して自分の近くにお皿を持ってきて料理を取るけど、あれは嘘なんだ」とのこと。。。「それは飛ばし過ぎだろ」と頭の中で思いつつ、さて「どうしようか」という僕。概念自体を嘘と言いだして、というかもはや嘘ですらないし。
どうしようかなと考えつつ、何とかエイプリルフールに軌道修正しようとしたけどやっぱり無理で、兄さんの嘘の意味はもちろん分かるし、ようは「テーブルを回したと思ってるだろうけど、その記憶自体が俺のついた嘘だから」という嘘の距離感がズレテル方向なで、いつもの楽屋ばなしならもしかしたらそっちの方で進めなくもないのだけど、今回は並列パターンでいこうと良くも悪くも自分の頭が進んでいたから、とりあえず、「言ってくれてよかった」みたいなむちゃくちゃな相槌で、次のターンへと矯正移動した感じ。兄さんも次に進めないとまずいと思ってくださったようで、本当は「テーブル回してたの、あれ嘘」の俺の解釈に対して「そうじゃない」とそっちを掘ろうとされたけどグッと飲み込んでくれた。
次の嘘は、エイプリルフールの効力が兄さんのターンで切れたから、それを使った方向の嘘。とりあえず、ブリッジとして機能してよかった。
次の嘘。「悪魔は俺だった」。中華のテーブルよりこっちの方がはるかに分かり易いから、受けやすくて良かった。「もっとどういう事か聴いて欲しいなぁ」といま音源を聴きながら思うのだけど、やってる時は自分がインタビューじゃないけど一度話を聞くと一気に立ち位置が真人間の方にグラついてしまってその後振る舞いにくくなる気がして、こちらは動き出しにくいのだった。
時間的にはこれくらいでちょうどだったから終わろうかと思ったけど、なんかもう1クダリ無いと止めにくいなぁという感じがしたから、音源の展開に。
抽象的な展開は兄さんの中華テーブルが天井な気がしたから、なんか地に足ついた嘘にしときたいなぁと思って頭を捻ったらなぜかこんな流れに。
「実は14年目」で兄さんはすぐに敬語に切り替えられたのだけど、そこは僕もちょっと上からの物言いに変えた方が良かったなぁと反省。「面が割れ無かったから」という言いぐさは何か好き。「どういう気持ちで奢られてたんですか?」という指摘もいいなぁ。
そこからの兄さんの「本当は85歳なんで」という展開は見事。終わりに向かって一直線という感じ。この展開をできる人がなぜあそこで中華のテーブルの話をしだすのかは謎。
この日録った音源が今月中は続くと思うけど、先月分に比べて調子は良かった方だと思うのでご期待ください!