News

天邪鬼

 1日の紀伊国屋での会、ブログで「あんまりウケなかった」というような感じのことを書いたのだけど、体感として、ドカンと会場を一つにするような笑いが取れなかっただけで(それはそれで悔しいことなのだけど)、それなりに、というか前のめりなネタをぶつけた割には結構楽しんで頂けていた感触だったのに、会う人会う人に『私は面白いと思ったよ』みたいなフォローをして頂いて、それはとてもありがたいのだけど、反面、なぜか切ない気持ちになってしまうのだった。あれー?体感的には楽しい高座だったのだけど、あれはただの勘違いだったのだろうか。

 褒められるのがめちゃくちゃ好きなくせに、天邪鬼なところがあったり、嫉妬深いところがあって、ひねた反応をしがちなのだけど、それに足を引っ張られることもありそうなので、ガラッと変えるのは無理でも、少しは体質を変えていければと思った。
 
 こんな性格だからだけど、自分が出演はもとよりお手伝いすらしていない会の打ち上げに参加するのが苦手で、今日自分は何一つ汗をかいていないのに何をビールなどご馳走になっているのだろう、とふと思ってしまい、しかもそれが良い会で、出演者含め関係者の方々が充実感に満ち満ちておられたりなんかしたらもっと顕著で、自分がここにいるべきでない、とかまで思ってしまう。そんなことないのに。違うな、というか、自分も出演したかったと嫉妬しているのが本当のところだ。みみっちいなぁ、自分。

 天邪鬼なところを直したいとも思うけれど、それが武器だったりもするから難しい。なぜか昔から人と同じことをするのが好きでなく何か違う事をやりたい、と強く思っていて、そんな奴が伝統芸能をやるなんてむちゃくちゃ矛盾してる気すらするけど、なんか横並びで、予定調和なことをするのが嫌い、というか苦手だ。だからという訳だけでもないけど、ちょっと前は定例会をやってる周りの方が少なかったから『3年目の吉笑』をやったのだけど、最近、というか少し前からたくさんの方が同じような定例会を始められたことが、今年は今の所そういう定例会をやっていないことに影響していたりする。どうせやるなら、もっと違う形でやりたいし、たぶんこれからもその繰り返しなんだろうなぁ。
 封建的な部分が少なからず残っている業界だから、どうしても足並みをそろえがちになるというか、みんな最終的には目立ちたい、飛びぬけたいと思っているはずだけど、その素振りは見せないようにしてあくまでも、足並みを揃えていますよ、みたいな空気が充満しているのだけど、それが自分は苦手だから、もう知らねー、と好き勝手やってしまえば良いのだけど、そこまで気が大きくもないからそれすらできずに、なんかバランス悪く、バランスの良いフリをしているだけだったりする。
 とはいえ、特に近しい周りは足並み揃えよう、みたいな空気を醸し出すことがほとんどなく、むしろ目立とうとしてくれているから、それには救われているし、さらには業界外の方と接する機会も増えてきて、そちらはもう資本主義の最前線、何とかして切り込もうと日々格闘しておられる方ばかりだから、そういう空気をたまには吸うことで、自分が思う、健全な思考でいられているような気がする。
 とはいえ、天邪鬼、少し直したい。というか、天邪鬼は独りの時にやって、周りの空気には干渉しないようにせめてしようと思った。