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エゴサーチ

 連日、エゴサーチをしている。
この仕事は客商売であり、お客様の意見こそが全てなので、ミクシー、フェイスブック、ツイッターなどの検索欄に「吉笑」と入力しては四六時中、検索を実行して、お客様の声を集めたおしている。また「吉笑」だけでは私のエゴを全て満たしているわけはないので、同様に「きっしょう」「きちしょう」「きちわら」「吉しょう」「きち笑」なども私のエゴとみなしサーチさせて頂いている。また私のエゴはアメリカにも及んでいるので「kisshou」でもサーチしているし「kichiwara」なども当然私のエゴの範疇である。
ツイッターやミクシーはアプリケーション内の検索欄があるから良いけれど、それ以外にもブログや個人サイトなどとにかく私のエゴの範疇である部分はサーチしたおすために、グーグルをはじめ、各種サーチエンジン、ポータルサイトでも検索をしているし、「.com」「.jp」「.net」「.co.jp」「.org」などはもとより、ありとあらゆるドメインで「htt://tatekawakisshou.○○」を検索している。
 また、私には落語家としてのエゴと本名としてのエゴの2つのエゴがあるので、本名の方でも上記同様、丁寧なサーチをさせて頂いている。そして一方で、私のエゴの全てがネット上にあるわけがなく、会の事が書かれた新聞各紙であったり雑誌だったりはもちろんのこと、会に来て下さったお客さまの日記などもサーチさせて頂くべく、直接お宅へ伺って、お願いをし、許可を得た上で私のエゴだけはサーチさせて頂いており、また許可を頂けなかった場合はこちらも私のエゴであるため譲ることはできないので出るとこへ出たり、また最悪の場合は強硬手段でもってエゴサーチさせて頂いている。

 ここまで入念にサーチすると私のエゴはほぼ網羅できているとはいえ、一方で一つの問題点が浮かび上がってきたのは先月のこと。サーチ対象が増えるにしたがって自ずと一日あたりのエゴサーチ時間が膨れ上がってしまい、ついには1日のうち13時間をエゴサーチに費やすことになってしまったのだった。
 1日のうちの半分以上の時間をエゴサーチに費やすということは、もはやそれが私のメインの作業になってしまい、もはやエゴサーチと言えなくなってしまうのではないかと、いう意見が持ちあがったこともあり、それでもエゴサーチの範囲を緩めることは本末転倒なので、どうしようかと考えたあげく、エゴサーチ用にバイトを雇うことにした。
 いまでは毎朝8時から23時まで、シフト制で契約社員2名、アルバイト9名、そして私、という12名体制で懸命に私のエゴをサーチさせて頂いている。私は1日の作業時間を4時間から5時間に抑えることで真っ当なエゴサーチを行えるし、アルバイト達は私についてサーチしているだけなので、私にとってのエゴサーチを12時間以上行ったとしてもそれはただの検索にあたり、よって私のエゴサーチが揺らぐことはない。ひとつ問題なのは「1日15時間も検索させられるなんて職場環境が劣悪すぎる」とアルバイト達から不満の声が上がっていることで、これについては今後フレックス制の導入であったり、福利厚生の充実化によって何とか沈静化させたいと考えている。